考えられる病気と受診の目安
「お腹の右下がズキズキする」「左下が痛む」――日常生活の中でよくある症状ですが、実は重大な病気が隠れていることもあります。
一時的な消化不良や便秘なら自然に治ることもありますが、放置すると命に関わる疾患 が潜んでいる可能性もあるため注意が必要です。
この記事では、右下腹部痛と左下腹部痛に関連する代表的な病気をわかりやすく大まかに解説します。さらに、受診の目安や一般的な検査についてもご紹介します。
右下腹部痛の主な原因
右下腹部には 盲腸・回盲部・虫垂・大腸の一部 が位置しており、ここに炎症や異常が起こると痛みが出現します。
急性虫垂炎(盲腸)
右下腹部痛といえばまず疑われる病気です。
- 初期は みぞおち周辺の痛み として現れ、徐々に右下腹部に移動するのが特徴。
- 吐き気・食欲不振・微熱を伴うこともあり、放置すると虫垂が破れて腹膜炎を起こす危険があります。
➡ 状態によっては 緊急手術が必要 になるため、強い右下腹部痛は受診をおすすめします。

これは私も2回なったことがありますがとっても痛いです!眠れないくらい!
2回とも1週間くらいの入院でした。1回目は薬で治りましたが、その2年後に再度虫垂炎になりました(笑)その時に手術をしました。
再発する可能性がある病気なので、色々な状況を考えて最初から手術を選択するのも良いかと思います。
大腸憩室炎(右側型)
大腸の壁の一部が袋状に飛び出した「憩室」に便が溜まり、細菌感染を起こす病気です。
- 盲腸や上行結腸に炎症が起こると、右下腹部に痛みが出現。
- 発熱や血便を伴うこともある。
- 繰り返すと腸の狭窄や穿孔が起こることもあるため注意が必要です。
回腸末端炎
小腸の最後の部分(回腸末端)に炎症が起こる病気です。
- クローン病の初期症状として現れることもあるが、感染症でも多く発症する。
- 右下腹部痛のほか、下痢・発熱・体重減少を伴うこともある。
- 炎症が強いと腸閉塞や穿孔につながる恐れがあるため、早期の診断・治療が重要です。
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)
慢性的に腸に炎症や潰瘍を引き起こす病気で、若い方でも発症します。
- 小腸の末端(回腸)に炎症が多くみられ、右下腹部痛を伴いやすい。
- 下痢・血便・体重減少を伴うことがある。
➡ 長期的な治療管理が必要なため、早期診断が重要です。
大腸癌
右下腹部の痛みの原因として見逃してはいけない病気が大腸癌です。
- 腫瘍によって便の通過が妨げられ、痛みや便秘が起こる
- 下血や血便が見られることがある
- 進行すると体重減少や貧血が出現する
特に50歳以上の方、家族歴のある方は注意が必要です。
早期発見のためには大腸カメラ検査が最も有効です。
左下腹部痛の主な原因
左下腹部には 下行結腸・S状結腸 があり、便がたまりやすい部分でもあります。そのため、炎症や循環障害が原因となるケースが多くみられます。
大腸憩室炎(左側型)
日本人でも増加傾向にある病気で、特にS状結腸にできやすいです。
- 左下腹部の強い痛みと発熱が典型的。
- 出血を伴う場合は血便が見られる。
- 重症化すると腸が破れて腹膜炎を起こすこともあり、注意が必要です。
虚血性腸炎
腸に血流障害が起こり、粘膜が炎症や潰瘍を起こす病気です。
- 中高年の女性に多い 傾向があります。
- 左下腹部の急激な痛みとともに、下痢や鮮血便を伴うのが典型的な症状。
- 多くは一時的に改善しますが、再発や重症化のリスクもあるため精密検査が必要です。
便秘・過敏性腸症候群(IBS)
- 左下腹部は便がたまりやすく、便秘による痛みや張りが起こりやすい。
- 過敏性腸症候群では、ストレスや生活習慣の乱れで下痢や便秘を繰り返し、左下腹部痛を生じることがあります。
炎症性腸疾患
潰瘍性大腸炎は直腸から炎症が広がるため、左下腹部の痛み・下痢・血便が出やすい病気です。
大腸癌
左下腹部の痛みの原因として見逃してはいけない病気が大腸癌です。
- 腫瘍によって便の通過が妨げられ、痛みや便秘が起こる
- 下血や血便が見られることがある
- 進行すると体重減少や貧血が出現する
特に50歳以上の方、家族歴のある方は注意が必要です。
早期発見のためには大腸カメラ検査が最も有効です。
受診の目安
次のような症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。
- 強い右下腹部痛・左下腹部痛が続く
- 痛みが徐々に強くなっている
- 発熱・吐き気・血便を伴う
- 安静にしても痛みが改善しない
- 繰り返し同じ部位に痛みが出る
特に 急性虫垂炎・憩室炎・虚血性腸炎・回腸末端炎 は急変することがあるため注意が必要です。
検査と診断
- 触診:圧痛点や腹膜刺激症状を確認
- 血液検査:炎症・感染の有無を調べる
- 腹部超音波検査:腸管や虫垂の状態を確認。CT検査と併用すると診断率UP
- CT検査:腹部全体を詳細に評価。腹部超音波検査と併用すると診断率UP
- 大腸内視鏡検査:粘膜の炎症や出血部位を直接観察
臨床検査技師による丁寧な超音波検査、放射線技師による安全なCT検査、内視鏡専門医による大腸カメラを行い、精度の高い診断を行うと事をおすすめします。
まとめ
- 右下腹部痛 の代表的な病気は「急性虫垂炎」「大腸憩室炎(右側)」「回腸末端炎」など。
- 左下腹部痛 では「大腸憩室炎(左側)」「虚血性腸炎」「便秘やIBS」などが考えられる。
- 血便・発熱・吐き気を伴う場合や、痛みが強まる場合は早めに受診を。
- 超音波検査・CT・大腸カメラなどを組み合わせて、原因を的確に診断する事を強くおすすめします。
- 右下腹部・左下腹部どちらでも癌の可能性はあり得ます。
お腹の痛みは「よくあること」と思いがちですが、実は重大な病気のサインかもしれません。気になる症状が続く場合、少しでも「何かおかしいな…」「違和感があるな…」と思ったらぜひお早めに近くのクリニック・病院へご相談下さい。