要注意！考えられる原因と受診の目安
「最近、便が黒っぽい」「真っ黒でドロドロした便が出た」
そんな時は注意が必要です。健康な便は、黄土色～茶色でバナナのような形状をしています。
硬すぎたり、色がいつもと違う場合には、体のどこかに不調が隠れていることがあります。
特に、黒くてドロドロした“タール便”が出たときは、放置せずに早めの受診が大切です。
黒い便（タール便）とは？
タール便とは、見た目がアスファルトやコールタールのように黒くてベタつく便のことを指します。
この黒さは、上部消化管（食道・胃・十二指腸など）からの出血が原因で起こることがあります。
出血した血液が消化液と混ざることで、赤い血液中のヘモグロビンが酸化し、黒く変色（硫化ヘモグロビン）して便に混ざるため、黒色になります。
つまり、黒い便が続くときは「体のどこかで出血している」サインの可能性があるのです。
黒い便が出ても慌てないで！食べ物や薬でも黒くなることがあります
すべての黒い便が出血によるものとは限りません。
薬や食べ物が原因で便が黒くなることもよくあります。
黒くなる原因となる薬
- 鉄剤（貧血の薬）
- ビスマス製剤（胃薬の一種）
- 薬用炭（整腸剤）
- 硫酸鉄、プロトポルフィリンナトリウム など
黒くなる食べ物
- イカスミを使った料理
- レバーや血液を多く含む食品
- 黒ゴマ、海藻類などを多く食べたとき
このようなものを摂取した直後に黒い便が出た場合は、一時的な変化のことが多く、心配はいりません。
ただし、心当たりがないのに黒い便が続く場合は、上部消化管（食道・胃・十二指腸など）の出血を疑い、病院・クリニックの消化器内科を受診しましょう。
黒い便（タール便）が出るときに疑われる主な疾患
黒い便が「病気による出血」のサインである場合、以下のような疾患が考えられます。
胃潰瘍
胃の粘膜がただれ、潰瘍ができる病気です。
原因にはピロリ菌感染やNSAIDs（痛み止め）・ステロイド薬の服用、ストレスなどがあります。
症状としては、タール便のほかに食後の胃痛、みぞおちの違和感、吐き気などが現れます。
十二指腸潰瘍
胃から続く十二指腸の粘膜に潰瘍ができる疾患です。
空腹時や夜間にみぞおちが痛むことが多く、出血があるとタール便や吐血が見られます。
胃がん・食道がん
がんによって粘膜が破れ、出血することで黒い便が出ることがあります。
食道がんでは、声枯れ・咳・食べ物のつかえ感・体重減少などを伴うことがあります。
胃がんでは、胃の不快感・食欲低下・吐き気・みぞおちの痛みなどが見られます。
食道静脈瘤
肝硬変の合併症として起こりやすい病気で、食道の静脈が膨らみやすくなる状態です。
破裂すると大量出血を起こし、吐血やタール便が出ることがあります。
放置すると命に関わることもあるため、早急な受診が必要です。
黒い便（タール便）以外にも注意したい症状
黒い便と一緒に次のような症状がある場合は、消化器系の疾患が進行している可能性があります。
放置せず、すぐに病院・クリニックへ相談してください。
- 発熱
- 声枯れ、咳
- 吐き気、嘔吐
- 食べ物のつかえ感
- 腹痛、胃の痛み
- みぞおちの痛み
- 食欲不振
- 体重減少
これらの症状が同時に見られる場合、消化管出血や悪性疾患（がん）が関係していることがあります。
黒い便と赤い便の違い
黒い便は上部消化管からの出血を示すことが多い一方で、
赤っぽい便（鮮血便・下血）は、大腸や肛門など下部消化管からの出血が疑われます。
血液が腸を通る時間が短いため、赤い色のまま便に混ざって出てくるのです。
どちらのタイプの便でも、「出血がある」という点では共通しており、早期の検査が大切です。
黒い便が出たらどんな検査をするの？
黒い便が出たときは、出血源を調べるために胃カメラ検査（上部消化管内視鏡検査）を行います。
胃カメラでは、食道・胃・十二指腸を直接観察し、出血している箇所を確認できます。
最近では、眠っている間に受けられる苦痛の少ない内視鏡検査（鎮静剤使用）も可能です。
出血が見つかった場合は、その場で止血処置を行うこともあります。
まとめ：黒い便（タール便）を見たら放置せず、早めに受診を
黒い便（タール便）は、消化管のどこかで出血している可能性がある重要なサインです。
食べ物や薬の影響で一時的に黒くなることもありますが、
「思い当たる原因がない」「黒い便が続く」「他の症状もある」場合は、早めに病院・クリニックの消化器内科を受診しましょう。
