長引く便秘は病気のサイン?便秘の種類・原因から治療法まで解説

腹部エコー

「もう数日、便が出ていない」

「お腹が張って苦しい」

「毎日出ているのにスッキリしない」

エコーくん
エコーくん

便秘は老若男女問わず多くの人が抱える悩みですが、「たかが便秘」と軽く考えて放置してはいませんか?

便秘は運動不足や食物繊維不足などの生活習慣が原因となることが多い症状ですが、中には治療が必要な病気のサインとして現れるケースもあります。
また、便秘が慢性的に続くと、痔や大腸疾患の発症・悪化リスクが高まり、日常生活の質(QOL)を大きく低下させてしまいます。本記事では、便秘の定義から原因、種類別の対処法、そして医療機関で行う検査や治療について詳しく解説します。


そもそも「便秘」の定義とは?毎日出なくても大丈夫?

便秘とは、便に含まれる水分量が減って硬くなったり、腸管の動きや通過に問題が生じたりすることで、排便が困難になったり回数が少なくなったりする状態を指します。
一般的に「毎日排便がない=便秘」と思われがちですが、医学的な判断基準は少し異なります。

「スッキリ感」が重要

食事をしてから排便されるまでの時間は、体調や個人差がありますが一般的には約24時間程度が目安です。

しかし、排便が2〜3日に1回であっても、以下の条件を満たしていれば便秘とは限りません。

  • スムーズに排便できる
  • お腹の張り(膨満感)がない
  • 残便感(出し切っていない感覚)がなく快適

毎日出ていても「便秘」の場合がある

逆に、毎日トイレに行っていても、以下のような症状がある場合は「便秘」と診断されます。

  • 強くいきまないと出ない
  • 便が硬く、コロコロしている
  • 少量しか出ず、残便感が強い
  • 排便時に苦痛や痛みがある

便秘とは、単に回数が少ないことではなく、「本来体外に排出すべき便を、十分量かつ快適に排出できていない状態」を指すのです。


便秘の種類と主な原因

便秘は大きく機能性便秘器質性便秘の2つに分けられます。自分の便秘がどのタイプに当てはまるか知ることが、改善への第一歩です。

機能性便秘

腸に明らかな病変がないにもかかわらず、日常生活の習慣や自律神経の乱れが原因で起こる、最も一般的な便秘です。
さらに細かく3つのタイプに分類されます。

1. 弛緩性(しかんせい)便秘

大腸の「ぜん動運動(便を押し出す動き)」が低下することで起こります。腸の緊張が緩んでいるため、便が長く留まり、水分が吸収されすぎて硬い便になります。
女性や高齢者に多く、お腹が張る、残便感、食欲不振、肌荒れ、肩こり、イライラを伴うこともある。

原因
・運動不足
・水分摂取不足
・食物繊維不足
・腹筋力の低下
・極端なダイエット

2. けいれん性便秘

大腸が過剰に緊張し、通り道が狭くなってしまうタイプです。自律神経のバランスが崩れ、副交感神経が過度に興奮することで起こります。
強くいきんでも少量しか出ず、ウサギのフンのような「コロコロした硬い便」になります。
便秘と下痢を繰り返すことが多く(過敏性腸症候群の便秘型など)、食後の下腹部痛や残便感を伴うことがあります。

原因
・精神的ストレス
・環境の変化
・過労

3. 直腸性便秘

便が直腸(出口付近)まできているのに便意を感じにくくなっている状態です。
直腸(出口付近)で便が詰まっている感覚がある。
朝忙しくてトイレを我慢しがちな方に多い。

原因
・便意の我慢
 (痔による排便痛を避けるために無意識に我慢が習慣化)
・高齢による排便反射の低下

器質性便秘

腸そのものに物理的な障害があるケースの便秘です。

原因疾患
・大腸がん
・腸閉塞(イレウス)
・腸管癒着
・直腸瘤など

このタイプの便秘では特に注意が必要!!
腸管が狭くなっているため、自己判断で市販の下剤を服用すると、腸に圧力がかかりすぎて「腸管穿孔(腸に穴が開くこと)」を起こす危険があります。
血便、強い腹痛、嘔吐などを伴う場合は、早急に医療機関を受診してください。


3. 便秘が引き起こす恐ろしい合併症とリスク

便秘を「いつものことだから」と放置すると、全身の健康に悪影響を及ぼします。

痔の発症と悪化のループ

硬い便を無理に出そうとして強くいきむと、肛門への負担が激増します。

  • 切れ痔(裂肛): 硬い便が肛門を通る際に粘膜が切れます。痛みを恐れて排便を我慢すると、さらに便が硬くなり悪化するという負のスパイラルに陥ります。悪化すると肛門が狭くなり(狭窄)、手術が必要になることもあります。
  • いぼ痔(内痔核): いきみによって肛門付近の血流が滞り、クッション部分が腫れ上がります。悪化すると直腸粘膜まで脱出するようになります。

重篤な大腸疾患

頑固な便秘が続くと
腸内に溜まった便が粘膜を圧迫し、大腸潰瘍腹膜炎、大腸に穴が開く穿孔を引き起こすことがあります。
これらは命に関わることもあるため、早期発見が極めて重要です。


4. 病院で行う便秘の検査と診断

「たかが便秘で受診してもいいの?」と迷う必要はありません。医療機関では、隠れた病気がないかを多角的に調査します。

問診:排便頻度、便の形状、お悩みの期間、服用中の薬、既往歴などを伺います。

触診・聴診:お腹を触ったり、腸の動く音を聴いたりして、便の溜まり具合や張りを確認します。

腹部超音波検査:消化管だけでなく他の臓器の観察も可能です。

腹部X線検査(レントゲン):ガスや便がどこにどのくらい溜まっているかを視覚的に把握します。

CT検査:腹部超音波検査や腹部X線検査だけでは不十分で大腸内視鏡検査の前など、更に詳しく検査した方が良い場合に行います。

大腸カメラ検査(大腸内視鏡検査):特に「器質性便秘」が疑われる場合や、40歳以上で急に便秘になった場合に推奨されます。大腸がんやポリープの有無を直接確認できる唯一の検査です。最近では鎮静剤を使用し、リラックスした状態で楽に受けられる医療機関が増えています。


5. 便秘を解消するための治療法

原因となる病気がある場合は、その治療を優先します。
器質的な問題がない場合は、薬物療法と生活習慣の改善を組み合わせて治療します。

治療のゴールは「薬を飲み続けること」ではなく、「薬に頼らず自然に排便できる体づくり」です。

薬物療法:あなたに合った処方を

現在は、昔ながらの刺激性下剤だけでなく、多種多様な薬が登場しています。

  • 水分調整薬: 便に水分を含ませて柔らかくする(酸化マグネシウムなど)。
  • 上皮機能変容薬: 腸内の水分分泌を促す新しいタイプのお薬。
  • 漢方薬: 体質に合わせて、腸の動きを整えたりストレスを緩和したりします。医師がライフスタイルに合わせて微調整を行い、段階的に自然な排便を目指します。

生活習慣の改善:再発を防ぐ土台作り

  • 食生活: 食物繊維(水溶性・不溶性のバランス)と十分な水分摂取を意識しましょう。
  • 運動: ウォーキングや腹筋運動は、腸のぜん動運動を助けます。
  • 排便習慣: 「便意を感じたら我慢せず、すぐにトイレに行く」ことが鉄則です。また、朝食を食べることで腸のスイッチを入れる「胃結腸反射」を利用しましょう。

6. まとめ:こんな症状があれば早めにご相談を

便秘は単なる不快感だけでなく、あなたの体が発している「SOS」かもしれません。

  • 便秘と下痢を繰り返している
  • 強くいきまないと出ない、残便感が抜けない
  • 血便がある、または便が細くなった
  • 急にお腹が張るようになった、腹痛や嘔吐がある

これらの中に一つでも当てはまるものがあれば、まずは一度、専門の医療機関を受診してください。適切な診断と治療を行うことで、長年の悩みが驚くほどスムーズに解決することも少なくありません。

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