
エコーくん
背中の痛み(背部痛)でお悩みの方は多いのではないでしょうか。
「疲れや姿勢のせいかな」と思って放置してしまいがちですが、実は重大な病気のサインであることもあります。本記事では、背中の痛みを引き起こす代表的な原因と病気、検査方法についてわかりやすく解説します。
背中の痛みの主な原因は3つ
背中の痛みは大きく分けて以下の3つの臓器の病気から起こることがあります。
- 心臓系の病気
- 腎臓系の病気
- 消化器系の病気
- 整形外科系の病気
背中の痛みに対する検査
背中の痛みがある場合、原因を明らかにするために状況により以下の検査が行われます。
- 問診・触診
どのような痛みか、いつからかを確認します。 - 採血検査
現在の身体の状態を確認します。 - 心電図検査
心臓の状態を確認します。 - 超音波検査(心臓・お腹)
心臓の動きやお腹の臓器の炎症等を確認します。 - X線(レントゲン)検査
骨の変形や骨折等を確認します。 - CT・MRI
より詳しい臓器の状態を調べます。 - 胃内視鏡検査(胃カメラ)
胃潰瘍・十二指腸潰瘍が疑われる場合に行います。 - 超音波内視鏡検査(EUS)
内視鏡(胃カメラ)に超音波がついている機器で、膵臓や胆管を精密に観察できる検査です。
※通常の胃カメラとは観察しているものが異なります
背中の痛みを引き起こす病気
① 心臓系の病気
心臓に関連する背部痛は命に関わる可能性があり、特に注意が必要です。
心筋梗塞
- 心臓の血管が詰まり、突然の強い胸痛や背中の痛みを伴います。
- 冷や汗や吐き気を伴うこともあります。
狭心症
- 一時的に血流が不足することで胸の痛みや背部痛を起こします。
- 安静にすると軽快することがありますが、放置すると心筋梗塞へ進行する危険があります。
大動脈解離
- 大動脈の壁が裂ける病気で、背中に突然強烈な痛みが走ります。
- 救急対応が必要な非常に危険な疾患です。
これらは問診、採血、心電図、超音波検査、CTの検査等でみつけます。
② 腎臓系の病気
腎臓や尿管の異常でも背中に痛みが出ることがあります。
尿管結石
- 石が尿管に詰まると、背中から腰にかけて強烈な痛みが走ります。
- 波のように痛みが強くなるのが特徴です。
腎盂腎炎
- 細菌感染により発熱や腰背部痛が出ます。
- 排尿時の痛みや頻尿を伴うこともあります。
これらは問診、触診、採血、超音波検査、CT、X線(レントゲン)等でみつけます。
③ 消化器系の病気
背中の痛みと関係が深いのが、膵臓をはじめとした消化器系の病気です。
急性膵炎
- 主な原因はアルコールと膵管の閉塞。
- 高脂血症(中性脂肪が高い人)もリスクがあり、暴飲暴食後の背部痛は要注意です。
- 急激なみぞおちの痛みと背中の痛みを伴います。
慢性膵炎
- 膵臓の組織が徐々に線維化し、膵機能が低下します。
- 繰り返す腹痛や背中の痛みが特徴です。
膵がん
- 初期は症状がほとんどなく、進行してから背部痛が出ることがあります。
- 黄疸や体重減少を伴う場合もあり、早期発見が難しい病気です。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
- 主にみぞおちの痛みですが、悪化すると背中に痛みが広がることもあります。
これらは問診、触診、採血、超音波、CT、MRI、胃カメラ、超音波内視鏡検査等でみつけます。
④整形外科系の病気
筋肉・骨・関節・神経などの異常によるものを「整形外科的背部痛」といいます。
筋筋膜性腰痛症
- 長時間の同じ姿勢や、重い物を持つ、冷えなどが原因で筋肉や筋膜に炎症が起こります。
- 鈍い痛みや、こり感が出る。
椎間板ヘルニア
- 背骨のクッションである「椎間板」が飛び出し、神経を圧迫して起こります。
- 背中だけでなく腕や脚に痛み・しびれが出る。
椎間関節症
- 背骨同士をつなぐ関節が炎症を起こしている状態です。
- 立ち仕事で痛みが強くなる。
これらは問診、触診、X線(レントゲン)検査、CT、MRI等でみつけます。
まとめ
背中の痛み(背部痛)は「筋肉疲労」や「姿勢の悪さ」など軽い原因の場合もありますが、
心臓系・腎臓系・消化器系・整形外科系の病気が関わる可能性があり、中には命に関わる疾患も含まれます。
病気は早期発見・早期治療が基本です。以下の症状がある場合は早めに医療機関を受診してください。
- 背中の”強い”痛みが急に出た
- 胸の痛みや冷や汗、吐き気を伴う
- 発熱や排尿時の痛みがある
- 暴飲暴食後やアルコール摂取後に痛みが出る
- 体重減少や黄疸を伴う

