
「のどに何かが詰まっている感じがする」

「風邪でもないのに、のどの痛みが続いている」

「耳鼻科に行っても『異常なし』と言われたけれど、やっぱり気になる」

このような、長引くのどの違和感や痛みにお悩みではありませんか?
のどの不調というと、まずは風邪や扁桃腺の腫れをイメージされる方が多いでしょう。しかし、実はのどの不調の原因は「のど」そのものだけでなく、「胃」や「食道」、あるいは「ストレス」など、思いもよらない場所に潜んでいることがあります。
今回は、のどの違和感や痛みを引き起こす様々な原因、特に近年増えている「逆流性食道炎」との関連、そして適切な対処法や検査について詳しく解説します。
その症状、当てはまりませんか?(のどのつかえ・異物感)
医学的には「咽喉頭異常感(いんこうとういじょうかん)」とも呼ばれますが、患者様によって感じ方は様々です。以下のような症状がある場合、注意が必要です。
- のどの違和感・イガイガする感じ
- のどがつかえた感覚、何かが詰まったような圧迫感
- 梅干しの種がのどにあるような感じ(ヒステリー球)
- 食べ物や唾液が飲み込みにくい
- のどの奥や口の中が酸っぱい感じがする
- 夜間や就寝中にのどの不快感で目が覚める
- 声がかすれる、咳払いをよくする
これらの症状が一時的であれば風邪の可能性が高いですが、2週間以上続く場合や、市販薬を飲んでも改善しない場合は、専門的な診断が必要です。
のどの違和感・痛みの原因
のどの不調を引き起こす原因は多岐にわたります。
① 感染症
最も一般的な原因です。
のどの痛みだけでなく、発熱、頭痛、倦怠感、咳、鼻水などを伴うことが多いのが特徴です。
- 風邪(急性上気道炎): ウイルス感染によりのどの粘膜が炎症を起こします。鼻水や咳、発熱を伴うことが多いです。
- 咽頭炎・喉頭炎・扁桃炎: 細菌やウイルスによって、のどの奥(咽頭・喉頭)や扁桃腺が赤く腫れます。強い痛みや高熱、倦怠感が出ることがあります。
② 咽喉頭逆流症(いんこうとうぎゃくりゅうしょう)
胃酸や胃内容物が食道を越えてのどまで逆流(咽喉頭逆流症:いんこうとうぎゃくりゅうしょう)すると、粘膜が刺激され炎症を起こします。特に
- 夜間や就寝中に症状が強い
- 横になると悪化する
- 胸焼けやげっぷを伴う
といった場合は、胃酸逆流が関係している可能性があります。睡眠障害の原因になることもあり、注意が必要です。
③ ストレス・自律神経の乱れ
- 咽喉頭異常感症(ヒステリー球): 検査をしても明らかな異常が見つからないにも関わらず、のどの詰まり感を強く感じる状態です。ストレスや自律神経の乱れ、のどの知覚過敏が関与していると言われています。
④ 重篤な病気
- ポリープ・がん: 咽頭、喉頭、食道などに腫瘍ができると、物理的にのどが狭くなり、つかえ感や飲み込みにくさ、嗄声(声のかすれ)、胸の違和感を感じます。
初期症状として「なんとなく違和感がある」程度のことも多いため、早期発見が重要です。 - 甲状腺疾患: のどの前にある甲状腺に炎症や腫瘍ができると、圧迫感や痛みを感じることがあります。
⑤ その他のつかえ感・異物感を引き起こす病気
のどがつかえた感覚や詰まった感じがある場合、以下の病気が考えられます。
・逆流性食道炎
胃酸の逆流が慢性化し、食道粘膜に炎症が起こる病気です。
原因として、暴飲暴食、肥満、腹圧の上昇、食道括約筋の筋力低下などが挙げられます。
・好酸球性食道炎
アレルギーが原因で食道に炎症が起こり、飲み込みにくさやつかえ感を生じます。
・カンジダ性食道炎
真菌(カビの一種)が食道で繁殖し、痛みやつまり感を引き起こします。免疫力が低下している時に起こりやすいです。
・アレルギー
食品やハウスダスト、薬剤などが原因で、のどの粘膜に腫れや炎症が起こることがあります。
なぜ「胃酸の逆流」でのどが痛くなるのか?
近年、のどの違和感を訴えて受診される患者様の中で急増しているのが、「逆流性食道炎」や「咽喉頭逆流症」です。
胃酸は強力な酸
胃の中には、食べ物を消化するために強力な酸(胃酸)が存在します。胃の粘膜は酸に強い構造をしていますが、食道やのどの粘膜は酸に対する防御機能が弱く、非常にデリケートです。
逆流が起こるメカニズム
通常、胃と食道のつなぎ目には「下部食道括約筋」という筋肉があり、胃酸が上がってこないように蓋をしています。しかし、以下の要因でこの筋肉が緩んだり、腹圧が上がったりすると、胃酸が逆流します。
- 加齢による筋力低下
- 肥満、食べ過ぎ・早食い
- 脂肪分の多い食事、アルコール、カフェインの摂取
- 猫背などの姿勢の悪さ
のどへのダメージ
逆流した胃酸が食道を通過し、さらに上にある「のど」まで到達すると、粘膜が直接酸にさらされ、炎症(やけどのような状態)を起こします。これが、「のどの痛み」「イガイガ」「声枯れ」の原因となります。 特に、夜間就寝時は横になることで胃酸がのどまで届きやすくなり、睡眠障害の原因になることもあります。
胃酸の逆流による症状への対処法と予防策
胃酸逆流が原因の場合、基本的には逆流性食道炎と同様の治療を行います。
- 胃酸分泌を抑える薬
- 消化管の動きを改善する薬
これらにより症状が改善することが期待できます。また、生活習慣の見直しで症状が和らぐことがあります。
食事の工夫
食べてすぐ寝ない
食後すぐに横になると、物理的に胃酸が逆流しやすくなります。就寝の3時間前までには夕食を済ませるようにしましょう。
刺激物を控える
脂っこい食事、激辛料理、アルコール、カフェイン、炭酸飲料などは、胃酸の分泌を増やしたり、逆流を防ぐ筋肉を緩めたりするため、控えめにしましょう。
睡眠時の工夫
上半身を高くする
就寝時、枕やクッションを使って上半身を少し高くして寝ると、重力によって逆流を防ぐことができます。また、左側を下にして寝ると胃の形状的に逆流しにくいと言われています。
服装・姿勢
お腹を締め付ける服装は避け、猫背にならないよう姿勢を正すことも腹圧を下げるために有効です。
「耳鼻科で異常なし」と言われたら消化器内科へ
のどの不調を感じたら、まずは耳鼻咽喉科を受診されるのが一般的です。しかし、耳鼻科で検査を受けても「のどに炎症はない」「異常なし」と診断されることがあります。
それでも症状が続く場合、原因は「食道」や「胃」にある可能性が非常に高いです。
まとめ:長引く違和感は放置せずご相談ください
「のどの違和感くらいで病院に行くのは…」と我慢してしまう方もいらっしゃいますが、その不快感は体からのSOSサインです。
単なるストレスや逆流性食道炎であれば、お薬(胃酸を抑える薬や消化管運動機能改善薬など)と生活改善で症状は劇的に良くなることがあります。一方で、食道がんや甲状腺疾患などの病気が隠れている可能性もゼロではありません。
- のどのつかえ感・異物感が取れない
- 食事の時に飲み込みにくさを感じる
- 胸焼けやゲップも気になる
このような症状がある場合は、自己判断で市販薬を使い続けず、病院・クリニックへ相談しましょう。
